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定款整備と種類株式の活用|経営権を守る事業承継の法的対策 | 相続の窓口|【公式】司法書士法人クオーレ

公開日:2017/12/06
最終更新日:2026/06/24

定款の整備・内容確認|なぜ事業承継前に必要なのか

経営者が亡くなった場合、それまで「経営者=株主(所有者)」だった関係が崩れることがあります。 相続が発生すると、経営者がまったく知らない相続人が新たな株主として登場するケースも珍しくありません。

⚠️ こんなリスクが起こりえます

  • 経営に関与していない相続人が株主となり、議決権を行使する
  • 後継者が過半数の議決権を確保できず、経営方針が通らなくなる
  • 第三者への株式売却が止められず、敵対的な株主が現れる

こうしたトラブルを未然に防ぐためのツールが定款です。 定款は、会社の基本的な運営ルールを定めた文書であり、いわば会社と株主との間の「基本合意書」にあたります(会社法第27条)。

📌 定款で対応できる主な事項

  • 相続人への株式売渡請求条項の設置(会社法第174条)
    ─ 相続人に対して、会社が株式を時価で買い取るよう請求できる規定
  • 譲渡制限の強化(会社法第107条第1項第1号)
    ─ 株式の移転に取締役会等の承認を要することで、不特定の者への流出を防止

根拠:会社法(e-Gov法令検索)

経営者=株主であるうちに定款を見直し、必要な条項を整備しておくことが、円滑な事業承継の第一歩です。


種類株式の活用|事業承継で使われる9つの権利とその使い方

定款整備と組み合わせて近年注目されているのが種類株式の発行です。 種類株式とは、会社法の規定の範囲内で、普通株式とは異なる権利を付与・制限した株式のことを指します(会社法第108条第1項)。

会社法では以下の9種類の権利について、普通株式とは異なる内容の株式を発行できると定めています。

No. 種類株式の種類 事業承継での主な活用例
1 剰余金の配当 後継者以外の相続人に配当優先株を交付し、経営関与を抑えつつ利益を分配
2 残余財産の分配 清算時の財産分配に優先権を設定
3 議決権制限株式 ★よく使われる 後継者に議決権を集中させ、他の相続人の経営介入を防止
4 譲渡制限株式 株式の第三者への流出を防止
5 取得請求権付株式 株主が会社に買取りを請求できる。後継者以外の相続人の出口戦略に
6 取得条項付株式 一定の条件(例:相続発生)が成就した際に会社が強制取得
7 全部取得条項付種類株式 株主総会決議で会社が全株式を取得。スクイーズアウト等に活用
8 拒否権条項付種類株式
(黄金株)
★よく使われる 現経営者が1株保持することで、重要決議に対し拒否権を行使できる
9 取締役・監査役の選任条項付株式 特定の種類株主だけが取締役・監査役を選任できる

なお、9つの権利のうち複数を組み合わせて付与・制限した株式を発行することも会社法上認められています(同条第2項)。

種類株式の具体的な活用シーン

🔷 ケース① 経営権を後継者に集中させたい

後継者以外の相続人に議決権制限株式(No.3)を割り当て、後継者だけが株主総会の議決権を持つ構造にします。 配当は等しく受けられるため、他の相続人の不満も抑えやすくなります。

🔷 ケース② 承継後も経営に一定の関与を残したい

現経営者が拒否権条項付種類株式(No.8/黄金株)を1株だけ保有します。 後継者に経営を任せながら、会社の根本に関わる重要決議には「待った」をかけられる状態を維持できます。 ただし、黄金株は現経営者の死亡時に誰が引き継ぐかを定款で明確にしておく必要があります。

⚠️ 種類株式発行時の手続き上の注意点

  • 種類株式を発行するには、定款に「種類ごとの発行可能株式総数」を記載する必要があります(会社法第108条第2項)
  • 定款変更には株主総会の特別決議が必要です(会社法第309条第2項第11号)
  • 種類株式の内容によっては、既存株主の種類株主総会の決議も必要になる場合があります(会社法第322条)
  • 登記事項の変更が生じる場合は2週間以内に変更登記が必要です(会社法第915条)

根拠:会社法(e-Gov法令検索)

定款整備・種類株式に関する相談窓口

機関名 主な相談内容 連絡先・備考
名古屋法務局
(商業・法人登記部門)
定款変更登記・種類株式登記の手続き確認 〒460-8513 名古屋市中区三の丸2-2-1
TEL:052-952-8111
平日 8:30〜17:15
公式サイト
中小企業基盤整備機構
(事業承継支援)
事業承継全般の専門家マッチング・補助金情報 公式サイト
愛知県事業承継・引継ぎ支援センター 後継者不在・M&Aを含む承継全般の無料相談 TEL:052-253-0562
平日 9:00〜17:00
公式サイト

まとめ|定款整備と種類株式は「今」動くのが鉄則

  • 定款は相続発生前に整備することで、経営権の分散・争族リスクを低減できる
  • 種類株式(とくに議決権制限株式・黄金株)は事業承継の強力な法的ツール
  • 定款変更・種類株式発行には株主総会特別決議+登記手続きが必要
  • 現経営者が判断能力を有するうちに手続きを完了させることが最重要
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。

この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ

代表

鈴田 祐三

保有資格

司法書士・行政書士・宅地建物取引士

専門分野

相続・遺言・生前対策・不動産売買

経歴

立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。


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