被相続人が外国籍のケース
状況
相談者様のご主人が亡くなり、相続人は相談者様とお子様が二人でしたが、ご主人が韓国籍ということで、自宅不動産の相続登記手続きをどうすればいいのかとご心配になってご相談にいらっしゃいました。
司法書士の提案&お手伝い
韓国籍の方の相続の場合、原則として韓国の法律に準じて相続人の範囲が決まります。
日本人が亡くなった場合の相続人の範囲は、配偶者は常に相続人となり、第1順位の相続人は子供またはその代襲相続人、第2順位の相続人は父母など直系尊属、第3順位の相続人は兄弟姉妹またはその代襲相続人となります。
韓国の方が亡くなった場合の相続人の範囲は、第1順位は配偶者と直系卑属、第2順位は配偶者と直系尊属、第3順位は兄弟姉妹ですが配偶者がいる場合は相続人になりません。
また、第4順位として4親等以内の傍系血族が相続人となります。配偶者がいる場合で直系卑属や直系尊属がいない場合は、配偶者が単独で相続人となります。
今回は、配偶者であるご相談者様とお子様が相続人となりそうでしたが、相続人の範囲を確定するために亡くなられた方の生まれてから亡くなるまでの戸籍を取得する必要があります。
韓国の戸籍は以前は日本の戸籍のような制度でしたが現在は家族関係証明書や婚姻関係証明書などで相続関係を証明します。証明書の制度ができる以前に生まれた方に関しては除籍謄本を取得する必要があります。
これらの書類は韓国の領事館などで取得する必要があり、法務局へ提出するにはそれらの書類の翻訳を付ける必要があります。
もし、亡くなった時点で日本へ帰化していたとしても、帰化以前の韓国の除籍謄本等は必要となります。今回は帰化されていなかったため、すべて韓国の書類を整える必要がありました。
また、ご相談者様と息子様は日本国籍でしたので、それぞれの戸籍謄本を取得し、相続人であることを確定していきました。
結果
今回は自宅不動産を息子さん名義にしたいとのことでしたので、遺産分割協議書を作成し、その他の必要書類を整えたうえで登記申請をし、無事に完了することができました。
お客様には、最初はどこで書類を取得すればいいのか全く分からなかったところ、弊所へご依頼いただいたことでスムーズに手続きを進められたと喜んでいただけました。
被相続人、相続人に外国籍の方がいる場合の相続では日本では想定していない相続の問題が発生する場合があるため、相続手続きをする際には一度専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。