相続税申告の期限が迫ってきているケース
状況
相続人の長男の方からの相談で8カ月前程に母親が亡くなり、相続税についてのお尋ねが税務署から届いたが、母親の財産について、ほとんど把握できてない。
父親は7年前に亡くなっており、相続人は、子供の長男、次男、三男です。
三男はタイに在住しておりどのように手続きを進めていけばよいか分からない。
司法書士の提案&お手伝い
税務署から送られる「相続税についてのお尋ね」には、遺産の内容を確認して、相続税の申告を促す目的があります。
親族が亡くなったときは市区町村役場に死亡届を提出しますが、この情報は税務署に通知されることになっています。
税務署は、亡くなった人について過去の確定申告書や固定資産課税台帳、さらに保険会社から提出される保険金の支払調書などから財産がどれぐらいあるかを調べます。
その結果、一定以上の財産があると見込まれる場合に「お尋ね」が送られます。
また相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ケ月以内に行わなくてはなりません。
期限まであと約2か月しかなかったので、なるべく早く財産の調査、相続税がかかるのであれば、相続税申告をしなければなりません。
また相続手続きには遺産分割協議書の作成や金融機関等の手続きで印鑑証明書が必要不可欠です。
しかし、タイ在住の三男の方がいらっしゃるとのことなので、住民票が国内にない場合、相続手続きに必要不可欠な印鑑証明書を取得することができません。
このような場合、タイの領事館で署名証明という書類を取得し、印鑑証明書の代わりとして利用し、手続きを進めていくこととなります。
また相続財産に不動産が含まれている場合は、署名証明書のみのいわゆる単独型では、法務局で受付してくれないので、遺産分割協議書に合綴した貼付形の署名証明書を要求されます。
つまり先に遺産分割協議書を作成しなければなりませんので相続税申告の期限もありますので、スケジュールを決めて手続きを進めていかなければなりません。
結果
母親の宛の手紙や通知物を見せていただき、所有不動産の特定、株式の照会、よく使っていたと思われる銀行への全店照会をして素早く財産の調査を行い、財産目録を作成しました。
その後、弊所提携の税理士と依頼者とご面談をしていただき、相続税がかかるとのことでした。
財産目録をもとにご兄弟で遺産をどのように分けるのか話し合いをしていただき、遺産分割協議書を作成し、三男の方にはタイの領事館にて、遺産分割協議書に合綴した署名証明を取得していただきました。
また相続税申告に必要な資料等は弊所にて収集していたので、弊所提携の税理士と連携して、相続税申告をなんとか期限内に行うことができました。
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この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。