相続人が連絡拒否するなど協力的でない場合の遺産分割を行うケース
状況
相談者の父親及び母親の遺産分割について、兄弟で話がまとまらず、一度衝突が起こり、その後一切音信不通のケースです。
連絡無視や連絡拒否など、非協力的な相続人がいる場合の相続の進め方はどうすればよいのでしょうか。
司法書士の提案&お手伝い
亡くなった人の相続人が複数いる場合、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)を行い、『だれがどの財産を相続するか』を決める必要があります。
この時、もし相続人の中に協力的でない人がいれば、遺産分割協議ができず、相続手続きがうまく進まないことになります。
遺産分割には相続人全員の署名・実印が必要です。
しかし、相続人の中には自分の損得しか考えない人、生前の家族関係を引きずる人、いろいろな人がいて思うように進まないことが多々あります。
第一には説得を試みるべきですが、一切口もききたくないと話し合いをしない人もいます。そんな時は家庭裁判所に『遺産分割調停』を申し立てることをお勧めします。
遺産分割調停を申し立てれば、例え協力的ではない相続人が裁判に出席しない場合でも、『審判』という形で裁判所が解決方法を指定します。
審判の内容が申立人に不利な場合もありますが、相続手続未了のまま長期間経過しますと更なる問題の発生も考えられます。
今回のケースでは、当時者間ではどうにもならない場合と判断し遺産分割調停を提案しました。
結果
裁判所が審判を下し、すべての財産を法定相続分で分割という手続きとなりました。
ポイント
相続手続きには相続人全員の関与が必要
相続が発生したら、普段付き合いがない相続人にも連絡をとらなければなりません。中には顔を見たこともない相続人がいるというケースもあります。
疎遠な相続人に連絡した場合、『無視』されたり『拒絶』されたりする可能性が生じます。
相続人が相続手続きに協力しない理由
今回のケースでは、兄弟が非協力的な相続人となるケースでしたが、
相続人が連絡無視や連絡の拒絶をする場合、一般的には次のような理由が考えられます。
・入院等の事情により、届いた書類をそもそも見ていない
・高齢のために相続の難しい内容が理解できず放置している
・付き合いがないので、面倒なことに関わりたくない
・こちらが提案した遺産分割の内容に納得していない
付き合いがない相続人に連絡を取っても、必ず返事が来るとは限りません。協力してもらえない可能性もあることを認識し、あらかじめ対策を考えておきましょう。
相続人の協力が得られないとどうなる?
相続手続きでは、被相続人名義の不動産の名義変更や預貯金口座の解約・払戻しなどを行う必要があります。このような手続きの際には、『遺産分割協議書』の提出を求められます。
遺産分割協議書は、遺産の分け方について、相続人全員が合意していることを証明する文書です。遺産分割協議書には相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書を添付しなければなりません。もし相続人の中に手続きに協力しない人がいれば、その人の押印や印鑑証明書が得られず、遺産分割協議書を提出できないことになります。
一部の相続人を除外した遺産分割協議は無効であるため、相続人全員の押印がない遺産分割協議書を提出しても受け付けてもらえません。
そのため、相続手続きを行うためには、必ず相続人全員の協力が得なければならないのです。
遺言書がある場合は?
被相続人が遺言書で財産を譲る人を指定している場合、遺産分割協議は必要ありません。
この場合には、相続人全員に連絡をとる必要はなく、遺言書にもとづき手続きを進められます。
当事務所では、『他の相続人が協力的でないため、相続手続きをどう進めたらいいのか分からない!』といった相続人からのご相談をお受けしています!
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
-
相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
-
立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。