不動産の名義変更、預貯金等の解約
1.相続登記
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に不動産の所有者名義を相続人の方へ変更する手続きです。
不動産は大変価値のある財産ですので、正確かつ速やかに名義変更をする必要があります。
相続登記関係書類
相続登記に期限はありませんが先延ばしにすると …
相続人に新たな相続が発生することで、手続きが困難になる。
【 例 】 亡くなった相続人の子や妻が新たに遺産分割協議に加わることで、話し合いが困難になる。
必要書類となる戸籍には、保管期限があるので収集が困難になる。
不動産を売却できない。
融資を受ける際、不動産に担保設定できない。
相続登記の流れ
1. 必要書類の収集、相続関係説明図の作成
2. 遺産分割協議の成立
3. 登記申請書の作成
4. 法務局へ登記申請
それぞれの手続きを詳しくみていきましょう
1.必要書類の収集
被相続人の出生から死亡までの連続する除籍謄本、戸籍謄本
被相続人の(除かれた)戸籍の附票
法定相続人全員の戸籍謄本
法定相続人全員の住民票
法定相続人全員の印鑑証明書
相続する不動産の固定資産税評価証明書
取得した書類を元に相続関係説明図 ( 家系図のようなもの ) を作成します。
※戸籍の収集・解読や相続関係説明図の作成には、専門的な知識と手間が必要となります。
▲ 相続関係説明図サンプル
2.遺産分割協議
遺産分割協議の内容に従い、遺産分割協議書を作成し、相続人が実印を押印します。
3.登記申請書の作成
相続内容により、記載方法が複雑に変化します。法務局や司法書士に相談されることをお勧めします。
4.法務局へ申請
登記申請書と必要書類を取りまとめ、当該不動産を管轄する法務局へ提出します。
提出から約1週間~10日後に名義変更が完了し、新しい権利書 ( 登記識別情報 ) が発行されます。
相続登記を司法書士に依頼することのメリット
1.相続書類の取り寄せ・収集が煩雑で時間的に困難
被相続人の出生から死亡までの連続した除籍謄本、戸籍謄本等の収集が必要ですが、除籍謄本は本籍地の市区町村役場でしか取得できません。
例えば、生まれたときは東京都に本籍があり、結婚時に静岡県に本籍地を移し、転勤で愛知県に本籍を変更した場合には、3ヶ所 ( 東京都、静岡県、愛知県 ) それぞれから除籍謄本、戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
2.戸籍を読み解き、相続人を調査し、
相続関係説明図を作成するには専門的知識が必要
戸籍は独特な記載の仕方がされていて、そこから相続人を調査することは専門的知識が必要です。また、昭和初期の戸籍ともなると、文字を解読するだけでも大変です。
3.正確な遺産分割協議書や登記申請書を作成する必要がある
作成方法は事案によって複雑に異なります。
4.法務局へ行き来する時間がない
不動産の権利関係の調査や登記申請書の提出は、対象不動産を管轄する法務局で行います。
5.出来上がった権利書 ( 登記識別情報 ) に専用カバーをお付けします
法務局から発行される登記識別情報は、A4の1枚ペラのみで、紛失の恐れがあります。
2.預貯金等の解約、名義変更
預金口座の名義人がお亡くなりになったことを金融機関が知ると、預金口座が凍結され、預金を引き出すことができなくなります。預金を相続するためには、口座の解約、名義変更が必要となります。
各金融機関により手続きは異なりますが、遺言書がない場合には、通常、被相続人の出生から死亡までの連続する除籍謄本・戸籍謄本、相続人の戸籍謄本・印鑑証明書、遺産分割協議書などの提出が必要となります。
各金融機関により、必要書類、手続き方法が異なるので、確認が必要です。
3.株式の名義変更
上場会社の株式がある場合、証券会社を通じて名義変更の手続を行うことになります。
非上場会社の株式についてはそれぞれの会社によって手続が異なりますので、発行会社に手続きを確認する必要があります。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
-
相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
-
立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。