【相続登記】共有名義の仮登記が残る不動産の相続と、仮登記の抹消を同時に実現した事例
ご相談の背景
相談者A様は、亡くなったお父様(被相続人B)の不動産を相続されたいとのことで、当事務所にご相談にいらっしゃいました。不動産の名義は被相続人単独だったものの、登記簿を確認したところ、被相続人Bと隣人Cとの共有名義で所有権移転請求権仮登記が残っている状態でした。
仮登記は数十年前に設定され、保全する必要性がないことが明らかだったため、相続登記とあわせて仮登記の抹消もご希望されました。
当事務所の対応
仮登記が被相続人Bと隣人Cとの共有名義だったため、一般的な仮登記抹消とは異なり、相続と仮登記の名義人関係を整理しながら進める必要がありました。以下の手順で対応いたしました。
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1.相続による所有権移転登記
まず、被相続人Bの名義となっていた不動産について、相続人であるA様への所有権移転登記を行いました。
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2.仮登記の持分移転登記
仮登記の名義は「BとCの共有」となっていたため、B様の持分を相続によりA様へ移転させ、仮登記名義を「AとCの共有」に変更しました。
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3.仮登記の抹消登記
A様とC様の双方から仮登記の抹消について承諾をいただき、それぞれの実印がある承諾書を添付のうえ、仮登記の抹消登記を申請・完了いたしました。
解決のポイント
今回のケースは、「被相続人と第三者との共有による仮登記が残っていた」という珍しいものでした。そのため、相続登記だけでなく、仮登記の名義人関係も丁寧に整理していく必要がありました。
また、隣人であるC様に事情をご説明し、必要書類のご協力をいただくことが必要でした。当事務所からご連絡・ご説明を差し上げたところ、C様にも快くご理解いただき、スムーズに手続きを進めることができました。
司法書士からのコメント
仮登記が残ったままの不動産を相続する場合、内容や名義人によっては、思いがけない対応が必要となることがあります。特に相続した不動産を売却する場合は、その仮登記を抹消しなければ原則として売却することができないため、注意が必要です。
相続をきっかけに不動産の名義関係を整理したいというご希望がある方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。