【相続放棄】実家を相続したら仮差押が…!?消し方と手続きの流れ
状況
父親が亡くなり、父親名義の不動産を名義変更しようと法務局にて登記簿謄本を取得したところ、母親が権利者として仮差押の登記が入っていた。
この仮差押の登記はこのまま放置しても大丈夫でしょうか、とのご相談でした。
相談者様のご両親はともに亡くなっており、相続人は相談者様とお兄様のみでした。
離婚した元夫の借金と不動産の仮差押|子供への相続を回避する方法
「離婚した元夫が亡くなったと連絡があった。子供が相続人になるらしいが、多額の借金があると聞いている。不動産も仮差押されているようで、どうすれば子供を借金から守れるのか…」
このようなご不安を抱え、当事務所にご相談に来られる方がいらっしゃいます。
ご安心ください。たとえ借金があり、不動産に仮差押がされていても、法律上の手続きを踏むことで、お子様が借金を背負う事態を回避できます。
この記事では、法律分野の専門家である司法書士が、お子様を元夫の負債から守るための最も確実な方法「相続放棄」について、その手順や注意点を具体的に解説します。
なぜ元夫の借金が子供に?「相続」の基本ルール
まず、なぜ離婚して関係のないはずの元夫の借金が、お子様に及ぶ可能性があるのか、相続の基本から理解しましょう。
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利・義務を、法律で定められた相続人が引き継ぐことです。これには、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や未払金、保証債務などのマイナスの財産もすべて含まれます。
離婚によって夫婦関係は解消されますが、親子関係は戸籍上も法律上も生涯続きます。そのため、父親が亡くなった場合、その子供は常に法律上の相続人(第一順位)となるのです。
「仮差押」された不動産も相続対象か?
そもそも仮差押とは?
仮差押(かりさしおさえ)とは、債権者(お金を貸した側)が、裁判で勝訴判決などを得る前に、債務者(お金を返済する側)が財産を勝手に処分してしまうのを防ぐために、その財産を一時的に凍結する法的手続きです。(参考: 裁判所ウェブサイト 民事保全手続き)
仮差押がされていても、不動産の所有権が移転するわけではありません。あくまで「処分を制限する」だけです。そのため、仮差押された不動産も、他の財産と同様に相続の対象となります。プラスの財産として評価される一方、その原因となった借金(被担保債権)もマイナスの財産として存在することを意味します。
最も確実な解決策「相続放棄」の手続き
元夫の財産を調査した結果、プラスの財産より明らかに借金の方が多い場合、お子様を守るために取るべき最も確実な手続きが「相続放棄」です。
相続放棄とは?制度の概要
相続放棄とは、家庭裁判所に申述(申し立て)をすることで、初めから相続人ではなかったとみなされる法的な制度です。これにより、プラスの財産を一切相続できなくなる代わりに、借金などのマイナスの財産も一切引き継ぐ必要がなくなります。
この手続きは、民法で定められた正式な権利です。(参考: e-Gov法令検索 民法第939条)
相続放棄の具体的な手続きフロー
必要書類の収集
被相続人(元夫)の住民票除票や戸籍謄本、申述人(お子様)の戸籍謄本などを収集します。
相続放棄申述書の作成
家庭裁判所に提出するための申述書を作成します。
家庭裁判所への申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、書類一式を提出します。郵送でも可能です。
裁判所からの照会書への回答
後日、申述が本人の意思に基づくか確認するための照会書が届くので、回答して返送します。
相続放棄受理通知書の受領
申述が受理されると、まず裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。これが手続き完了の基本的な通知です。必要に応じて、金融機関への提出用などに「相続放棄受理証明書」を発行してもらうことも可能です。
相続放棄のメリットとデメリット
手続きを進める前に、メリットとデメリットの両方を正確に理解しておくことが重要です。
相続放棄のメリット
- 借金の返済義務がなくなる
元夫の借金を一切引き継ぐ必要がなくなります。
- 相続トラブルから解放される
他の相続人との遺産分割協議などに参加する必要がなくなります。
相続放棄のデメリット
- プラスの財産も一切相続できない
後から価値のある財産が見つかっても相続できません。
- 原則として撤回できない
一度受理されると、簡単には取り消し(撤回)ができません。
- 次の順位の相続人に影響が及ぶ
相続権が次の順位の親族(元夫の父母や兄弟など)に移ります。
結果
父親名義の不動産の名義変更と仮差押の取り下げの申し出の書類作成の手伝いをさせていただくことになりました。
相続人のお兄様と御話し合いをしていただき不動産を相談者様が相続することにきまり、父親名義の不動産を相談者様名義に変更いたしました。
また、仮差押の管轄裁判所に対しても、取り下げの申し出をして無事仮差押の登記も抹消することができました。
相続放棄の無料相談実施中!
当事務所は、相続放棄の初回相談を完全無料で承ります。
相続手続きや遺言書作成、成年後見など相続に関わるご相談は当事務所にお任せください。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
予約受付専用ダイヤルは0120-7584-02になります。
お気軽にご相談ください。
電話受付▶10:00~19:00(平日)10:00~17:00(土日祝)
相続放棄サポートの費用
項目 | ミドルプラン | フルプラン |
---|---|---|
無料相談 | 初回 | 何度でも |
戸籍収集 | 〇 | 〇 |
相続放棄申述書作成 | 〇 | 〇 |
書類提出代行 | 〇 | 〇 |
照会書への回答作成支援 | 〇 | 〇 |
債権者への通知サービス | × | 〇 |
親戚への相続放棄「まごころ」通知サービス | 〇 | 〇 |
パック特別料金 | 55,000円~(税込) | 66,000円~(税込) |
※ 料金は、相続放棄をなさる相続人1名様あたりの金額となります。
※ ミドルプランの「無料相談」は、2回目以降、相談料5,500円(税込)が発生いたします。
※ 当事務所の報酬とは別に印紙代や(除)戸籍謄本取得費用、郵送料等の実費が別途かかります。また、料金は消費税抜きの金額です。
※ ご兄弟の相続放棄の場合は、事案に応じて別途費用がかかります。
※ 相続放棄の期限までの日数に余裕がない場合(期限まで2週間以内の場合、ご兄弟が相続人の場合は1カ月以内)は別途費用がかかります。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。