配偶者が義理の兄と円満に相続を進めたケース
ご相談内容
ご相談の背景
Aさんは長年連れ添ったご主人を病気で亡くされ、大きな喪失感の中で今後の生活を見据えなければならなくなりました。
ご夫婦の間にはお子様がなく、ご主人のご両親やご兄弟とも長年交流がなかったため、「相続に関しては自分一人で対応できるだろう」とお考えでした。
ところが、ご主人名義の銀行口座には約1000万円の預貯金が残されており、その解約を申し出た際、金融機関から「相続人全員の協力が必要です」と説明されました。
ご主人に兄弟がいることは知っていたものの、何十年も顔を合わせておらず、連絡先すら不明な状態だったAさんにとって、その手続きは大きな不安の種となりました。
「自分だけで進めるには限界がある」と感じたAさんは、「相続の窓口」にご相談にお越しくださいました。
相続人の調査と法定相続関係の確定
相続手続きを進める第一歩は、正確な法定相続人の確定です。
当事務所では、被相続人であるご主人の戸籍謄本を出生から死亡まで遡って取得し、家族関係を丁寧に調査しました。
その結果、以下の事実が明らかになりました。
● ご主人のご両親はすでに他界している
● ご主人とAさんの間にお子様はいない
● ご主人には兄が一人(Bさん)だけいる
この結果、法定相続人はAさん(配偶者)とBさん(義兄)の2名であることが判明しました。
日本の民法では、子がいない場合、配偶者と兄弟姉妹が共同相続人となります。そのため、相続手続きを行うには、Bさんの同意と協力が不可欠でした。
司法書士からのご提案&お手伝い
義兄Bさんへの連絡と交渉
Aさんは「義兄に連絡を取るのが精神的にしんどい」「拒否されたらどうしよう」と大きな不安を感じていらっしゃいました。
そこで、当事務所が中立的立場からBさんに連絡を取ることにいたしました。
まずはBさんの所在を調査し、確定しました。
突然のお知らせに驚かれる可能性を考慮し、配慮ある文面で手紙をお送りし、ご主人のご逝去の報告と相続の状況をご説明しました。
後日、Bさんよりご連絡をいただきました。
当初は驚かれた様子でしたが、当事務所が丁寧に経緯を説明し、「Aさんが相続手続きを進めるにあたり、Bさんの協力が必要であること」をご理解いただくことで、Bさんは誠実に対応してくださいました。
「たしかに長年連絡はなかったけれど、兄として協力はしたい」と、非常に前向きな姿勢を示され、円満な解決の道が見えてきました。
遺産分割協議と預貯金の解約手続き
Aさんは、今後の生活資金を考えたうえで「できれば預貯金全額を相続したい」と希望されていました。
一方で、Bさんは「弟の財産はAさんが全額相続することに異存はない」とのお考えを持っておられました。
そこで当事務所では、双方のご意向を尊重し、預貯金全額(約1000万円)をAさんが単独で相続するという内容で、遺産分割協議書案を作成いたしました。
この遺産分割協議案に対し、Bさんは快く同意してくださり、正式に遺産分割協議書を作成しました。お二人には署名・実印の押印をいただき、それぞれの印鑑証明書も添付して書類一式を完成させました。
結果
遺産分割協議書および必要書類を金融機関に提出し、Aさんが希望されていた預貯金の解約の手続きは、滞りなく完了いたしました。
まとめ
今回のケースのように、相続人が配偶者と義理の兄弟といった構成の場合、日常的な付き合いがないことも多く、連絡や交渉には大きな心理的ストレスが伴います。
Aさんのように「義理の家族とどう関わればよいかわからない」と感じる方は、少なくありません。
このような場面では、法律の専門家が中立の立場で介入することで、感情的な対立や誤解を防ぎ、スムーズで円満な相続が実現できます。
Aさんも「一人で悩んでいた時は不安でいっぱいでしたが、専門家の方に間に入ってもらえて本当に助かりました」と、安心されたご様子でした。
「相続の窓口」では、相続人の立場やご事情に寄り添いながら、戸籍調査から遺産分割協議書の作成、金融機関とのやり取りに至るまで、一括してサポートしております。
特に、義理の家族との関係性に悩まれる方や、相続手続きが複雑でどうしていいか分からないという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。