ご家族(推定相続人)の中に、重度の認知症の方がいる場合の生前手続き
状況
ご子息がお父様のお元気なうちに、何かできることはないかと思い、生前対策のご相談にみえました。
ご家族関係をお聞きすると、お父様は心身ともに元気でいらっしゃるが、お母様は重度の認知症で数年前から施設に入所されているとのことでした。
ご子息はお二人で、別に住居を構えているため、将来的にお父様がお亡くなりになった後は、お父様の自宅不動産を売却して、お母様の介護費用に充てたいとのことでした。
仮に、生前対策を何も行わず、お父様がお亡くなりになった場合、相続人全員で「誰がどの遺産をもらうか」を決める遺産分割協議を進めることになります。
しかしながら、お母様が重度の認知症となると、判断能力に欠けているため、協議を行うことができません。
そこで、成年後見制度を利用し、遺産分割協議を行うことになります。
成年後見制度には、メリットばかりではなく、デメリットもあるため、ご説明したいと思います!
成年後見制度とは?
まずは、実際に成年後見人になれるのは、親族とは限らない点にあります。
現状の成年後見制度では、弁護士や司法書士等の専門家が家庭裁判所から選任され、成年後見人になるケースが全体の約8割を占めているのです。
そして、専門家が成年後見人に就任する場合には、成年後見人へ毎月報酬を支払う必要が生じます。
報酬は、ご本人が保有する財産によって異なりますが、目安としては月2~6万円前後と言われています。
(成年後見人が遺産分割協議に参加する場合や不動産を売却する場合には難易度に応じた追加報酬が発生する場合があります。)
年間24万円~72万円が10年続くとすると、合計240万円~720万円もの多大な支出となり、非常に大きな負担となります。
かといって、成年後見制度を利用した場合、途中で制度の利用を中止することもできません。
また、成年後見人が選任され、遺産分割協議ができる状態になったとしても、家庭裁判所の管理下に置かれるため、自由に協議内容を決めることはできません。
例えば、税金対策のため、本人(成年被後見人)の取り分を法定相続分よりも少なくすることは非常に困難です。
これだけ見ると、成年後見制度がデメリットしかないようにも思えますが、財産管理を成年後見人に全て任せることができるため、ご家族はその負担から解放されることや親族の使い込みトラブル等を防ぎ、本人の財産を守ることができるなどメリットもあることを申し添えたいと思います。
司法書士の提案&お手伝い
今回のケースでは、何も対策をせずに成年後見制度を利用した場合、生前にご子息への贈与や家族信託、遺言など各制度を利用した場合、メリット、デメリット、手続費用を比較検討した結果、お父様がお元気なうちに、遺言を作成するという結果となりました。
生前の対策は一つとは限らないので、専門家を話し合いながら、ご家族に一番適した手続きを選択することが重要です!
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。