相続人の中に養子である兄弟がいるケース
状況
ご依頼者Aさんは、配偶者も子供もいない兄弟Bさんが死亡し、ご両親も亡くなっているので自分が相続人となるが、両親は離婚しており、父が再婚後、相手方の連れ子Cさんを養子縁組しているようで、その養子も相続人となるのか、また相続人となるとしても連絡先を全く知らないのでどうしたらいいのかわからないということでご相談にいらっしゃいました。
司法書士の提案&お手伝い
まず、今回のケースで養子Cさんが相続人となるのかという点について、民法727条で「養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。」と規定されており、Cさんも相続人となるため、Bさんの遺産についてはAさんとCさんで分けることになります。
この場合の法定相続分は、Aさんが3分の2、Cさんが3分の1となります。
兄弟姉妹の相続については、片親だけが同じ兄弟姉妹の相続分は、両親ともに同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1となるため、今回のケースでは父だけが同じ兄弟ということになるからです。
上記のことをAさんにご説明し、Bさんは遺言書をのこされていないということでしたので、Bさんの遺産相続についてはCさんのご協力が必要になる旨をお伝えしました。
弊所でBさんの遺産相続手続きに必要な戸籍謄本等の書類を収集して確認したところ、Bさんの相続人はAさんとCさんで間違いがなく、AさんはCさんの連絡先をご存じないということでしたので、弊所でお調べしたCさんのご住所へBさんが亡くなられたこと、Bさんの遺産、Bさんの相続人が誰か、Bさんの遺産相続にはCさんのご協力が必要なこと等をお伝えするお手紙を送付したところ、Cさんからご連絡をいただくことができ、快くお手続きにご協力いただけるとおっしゃっていただけました。
結果
AさんとCさんとの間で無事に遺産分割協議がまとまり、弊所で預貯金の解約や不動産の名義変更手続きを進め、手続きを円滑に進めることができました。
Aさんには自分だけではこんなにうまく手続きを進めることはできなかったと喜んでいただけました。
ポイント
今回のようなケースでは、BさんがAさんに遺産を渡す旨の遺言書を遺されていた場合には、Cさんの協力をあおぐことなく、手続きを進めることができました。
兄弟姉妹には遺留分がないため、たとえBさんがAさんに全部の遺産を残すという遺言書を書いていたとしても、CさんからAさんに遺留分の請求をされる恐れはないからです。
遺留分とは相続人に最低限保障されている相続分のことです。
自分の相続人は兄弟姉妹しかおらず、一部の兄弟姉妹に遺産を残したいという希望がある場合には、遺言書を遺しておくことをお勧めします!
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。