相続税の申告も必要だったことが判明したケース
状況
ご相談者様のご主人は半年ほど前に他界したが、自宅不動産について相続登記が未了であったため、手続きを依頼したいと来所されました。
当事務所の提案と解決
2021年4月の法改正により、原則として、不動産の所有権の登記名義人について相続が発生した場合、その相続により不動産の所有権を取得した方は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならなくなりました。
これを相続登記の義務化といいます。
ご相談者様も新聞で相続登記の義務化を知り、早めに終わらせておこうと考え、当事務所にご連絡を頂けたとのことでした。
相続登記の依頼とのことでしたが、念のため、遺産全体の概要をヒアリングさせて頂くと、相続税の基礎控除を上回る資産をお持ちのように見受けられました。
そこで、税理士へご相談されたことはあるかご質問したところ、ご近所の方から、ご自宅の不動産については、安くなるから申告は必要ないと助言を受けたので、税理士には相談せず、安心していたとのことでした。
近所の方は、おそらく「小規模宅地等の特例」のことを指して、助言されたのだと思いますが、こちらの特例を使用して遺産総額が基礎控除よりも少なくなった場合でも、申告義務は不要にはなりません。
つまり、特例を使用するには、申告が必要となります。
ポイント
よく間違えやすいのですが、相続税の申告が必要か否かと実際に相続税が発生するか否かは別問題となりますので、ご注意ください。
日を改め、弊所提携先の税理士も同席の上、相談したところ、相続税申告が必要なケースに該当し、その場で相続税申告を税理士へご依頼されることになりました。
また、相続税の申告期限まで約3ヶ月と迫っておりましたので、相続税申告資料の収集や預貯金解約、不動産の名義変更手続きも含まれる相続丸ごとサポート(遺産整理業務)をご依頼いただきました。
結果
ご相談様のご協力の下、司法書士・税理士の専門家チームが急ピッチで手続きを進め、無事、相続税申告期限までにすべての手続きを終えることができました。
日々、多くのご相談を受けておりますと、今回のご相談者様のように、周りの方々やネット情報を信頼して誤った方向に進んでしまっている方も相当数いらっしゃいます。
助言いただく方も善意でして頂いているとは思うのですが、相続手続きは各ご家庭で十人十色、大切なご資産について、的確に手続きを進めるには、専門的な知識経験を必要となります。
ぜひ、初めの段階から相続手続きを得意とする専門家(司法書士や税理士)にご相談いただくことを強くお勧めします。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。