前妻との間に子供がいる場合の生前対策(トラブル防止)
状況
ご相談者様は10年ほど前に離婚をしたが、前妻との間にもうけたお子様が2名いらっしゃるとのこと。
1年前に再婚したが、将来の相続手続きが不安で現在の配偶者様とともに、ご相談にお見えになりました。
現配偶者様との間にはまだ子供はいないが、いずれ恵まれればとのことでした。
当事務所の提案と解決
今回のケースでは、どなたがご相談者様の将来的な相続人(推定相続人)になるのか見ていきたいと思います。
まず、将来的に相談者様が亡くなった時点で、現在の配偶者様がご健在な限り、必ず相続人になります。
次に、前妻は離婚すれば配偶者ではなくなるため、相続人にはなりません。
ただし、前妻との間のお子様は離婚しても親子関係は続くため、相続人となります。
将来的に相続が発生した場合、遺産の分配について話し合い(遺産分割協議)をしていくことになりますが、相続人全員が参加しなければなりません。
今回のケースでも前妻との間のお子様たちとは会わせてもらえず、結果的に疎遠になっているとのことでしたが、前妻との間のお子様も一緒に話し合いをしなければなりません。
お互いに顔も合わせたこともなく、立場も異なりますので、トラブルになる可能性がとても高いといえます。
そこで、今回のようなケースでは、トラブルを避けるための対策をとる必要があります。
1.遺言作成
現在の配偶者様へ全ての財産を相続させる旨の遺言をつくることで、前妻との間のお子様への相続を避けることができます。
遺言があれば、相続人全員で遺産分割協議も必要なく、手続上もスムーズに進めることができます。
しかしながら、前妻のお子様には遺留分という権利が認められるため、トラブルを避けるためには遺留分に配慮した内容の遺言を作成することが大切です。
2.生前贈与
亡くなる前に、現在の配偶者に財産を贈与しておくことも有用です。
ただし、生前に贈与した財産は「特別受益」とみなされ、生前に贈与した財産を遺産に持ち戻して相続分や遺留分の金額を算定されてしますこともありますので注意が必要です。
また、贈与する財産によっては贈与税も高額となりますので、税金面も考慮して検討する必要があります。
結果
今回のケースでは、ご相談者様のご意向から遺言を作成することになりました。
将来的にお子様に恵まれた場合には、お子様にも遺産を遺したいというご意向をお持ちでしたので、生命保険の活用や遺言の再作成(遺言は何度でも書き直すことができます!)も同時にご提案させて頂き、その時にはまた相談に来ますとおっしゃっていただけました。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。