相続した不動産に「仮差押」がされているケース
状況
父親が亡くなり、父親名義の不動産を名義変更しようと法務局にて登記簿謄本を取得したところ、母親が権利者として仮差押の登記が入っていた。
この仮差押の登記はこのまま放置しても大丈夫でしょうか、とのご相談でした。
相談者様のご両親はともに亡くなっており、相続人は相談者様とお兄様のみでした。
司法書士の提案&お手伝い
「仮差押」とは、差押の前提としてよく利用される登記です。
たとえば、債権者がお金を返してくださいと訴えを起こす場合、裁判の判決まで何カ月も時間がかかってしまうので、いざ判決が確定して財産を差押えしようとした時に、差押えするべき財産がすべて処分されてしまっていると、せっかく裁判をした債権者の努力が徒労に終わってしまいます。
そこで、訴えを起こす前に債務者の財産を仮に差し押さえて、処分をできなくした後、裁判の判決確定後に差押えをして債権を回収するというものです。
今回の仮差押について相談者様に何か心当たりがないか聞いたところ、40年くらい前に両親が離婚するといって揉めていたことがあったけど、結局離婚しなかった事実があるとのことでした。
おそらく、離婚訴訟を起こす際、財産分与や慰謝料などのために不動産に仮差押をしており、結局離婚はせずにそのまま仮差押を取り下げるのを忘れていたのでしょう。
今回のケースでは、おそらく債権は存在しないし、相続人はご兄弟のみなので仮差押をこのまましておいても問題は特にございません。
しかし、不動産を売却したり不動産を担保にご融資を受けるなどの手続きをする場合、実務上仮差押の登記が存在している以上、不動産を買ってもらえませんし銀行も担保としての不動産として受け入れてくれません。
また、このまま放置をしていても国が勝手に仮差押の登記を抹消してくれることもございません。
今回の場合は債権者(母親)、債務者(父親)の相続人がどちらもご相談者様自身であり、書類が整っていれば簡単に仮差押の取り下げができることから、今後のためにも抹消手続きをした方がよいとご提案しました。
結果
父親名義の不動産の名義変更と仮差押の取り下げの申し出の書類作成の手伝いをさせていただくことになりました。
相続人のお兄様と御話し合いをしていただき不動産を相談者様が相続することにきまり、父親名義の不動産を相談者様名義に変更いたしました。
また、仮差押の管轄裁判所に対しても、取り下げの申し出をして無事仮差押の登記も抹消することができました。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士

司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。