親が認知症で不動産を売却したケース
状況
認知症の親御様が所有する不動産について、娘様からご相談がありました。
空き家になっており、老朽化が進んでいる実家の手入れをしていていたところ、隣家の方に「屋根の一部が落ちてきた、壁も一部剥がれかけていたので、飛んできたらどうしてくれるんだ」と苦情を言われた。修繕しようにもお金がかかるし、所有者である親御様は認知症で介護施設に入っている。今後使う予定のない建物を修繕するよりも、不動産を売却して施設利用料などにあてたいとのことでした。
司法書士の提案&お手伝い
不動産の売却処分及びそれに伴う所有権移転登記をする際は、所有者自身の売却意思が必要となりますが、今回のように所有者本人が認知症で売却の判断能力がない場合、成年後見制度を利用して手続きを行う必要があります。また、元々住んでいたご自宅の売却ということで、家庭裁判所売却の許可も得なければなりません。
成年後見制度を利用するにあたり、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職を後見人に選任すると、業務報酬などのランニングコストが発生しますが、今回は費用負担を抑えてお手続きできるよう、娘様を後見人の候補者としてたてることをご提案しました。
成年後見と売却許可の申し立てを進める一方で、早急に不動産を売却できるよう、弊所と長年お付き合いがあり信頼できる不動産業者をご紹介して買い手探しに動いていただきました。
結果
後見の申立をしている間に運よく買い手がみつかり、その後娘様が後見人に選任され、無事売却の許可もおり、一連の手続きを終えるのに3カ月とかからずに不動産を売却することができました。
また、まとめサイト等への無断引用を厳禁いたします。
この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。