息子が電車に飛び込み自殺をしてしまった…。賠償金を払えない場合の対処法を専門家が解説!
息子が電車に飛び込み自殺・・・。損害賠償金は相続放棄できる?
ご依頼者は、約1カ月前今年30歳になる息子が電車の線路に飛び込み自殺したということでご相談にいらっしゃいました。
息子さんの死亡後に、4社の消費者金融から督促のハガキと電話があり合計150万程の借金があることがわかり、また鉄道会社からの損害賠償についての連絡があり、損害額については現在調査中であるものの、損害賠償金を払わなければならないとのことでした。
ご依頼者としては、消費者金融の150万円だけなら払うことはできるものの、鉄道会社の損害額が莫大だった場合とても払うことはできないので、相続放棄を検討しておられました。
ただ、鉄道会社の損害額が現在調査中ということで、何度か電話しても明確な回答がなく、このままだと相続放棄の熟慮期間3カ月がすぎてしまい相続放棄ができなくなってしまうのではないか。
また、息子が他人に迷惑をかけたのにそれをなにもなかったことにするのは申し訳ないので、払える額なら払った方がよいのではないかと、相続放棄をするのを迷っておられました。
また次順位の祖父母に債務がいってしまうのではないかということも心配されておりました。
司法書士の提案&お手伝い
亡くなられた方に配偶者と子供がいない場合、両親が相続人となります。また、両親が相続放棄をして、祖父母がご存命だった場合、祖父母が相続人になります。
相続放棄については、原則相続知った時から3カ月以内にすべきという決まりがあります。ただし財産調査に時間がかかるなどの理由があれば、裁判所に申出をすることによって期間の伸長をすることができます。
今回のケースでは、鉄道会社の損害額がどのくらいになるかは検討がつきませんが、もし損害金が莫大だった場合ご両親の生活が脅かされることとなるため、期間の伸長をすることなく、相続放棄の手続きを進めていくことにしました。
また、自分たちが相続放棄しても、第二順位の相続人にも相続放棄の申述をしてください、という連絡は義務ではないのですが、祖父母も突然債権者から通知がきたらびっくりしてしまうでしょうから、しっかり事情説明をして、ご理解のうえ、祖父母様も相続放棄される方向で進めていくことにしました。
結果
今回のケースでは特に何ももめることなく、ご両親、両祖父母ともに弊所で相続放棄手続きを進めさせていただき、無事に手続きを完了し、ご安心していただくことができました。
ポイント
ご自身の息子が借入や他人様にご迷惑をかけて発生した賠償金を放棄して免れるのは、気が引ける気持ちはわかります。
しかし、相続放棄は法律で認められている正当な行為であると思いますのでなにも引け目を感じることはございません。
相続放棄をするには、相続開始を知ってから3か月以内に裁判所へ申述するという期間の制限があります。
その期間は裁判所へ申し出ることにより伸長してもらうことができますが、伸長の申し出も3か月以内にしなければなりませんので、注意が必要です。
また、3か月以上経過していても、事情によっては相続放棄の申述を受理してもらえることもありますので、相続放棄をするか否か迷われたときには専門家にご相談されることをお勧めします。
自殺などの人身事故で遺族への賠償責任が生じるケース
自殺や人身事故で遺族の方へ賠償責任が生じることは少なくありません。
今回はそのようなことが起きたときにどう対応していくべきか解説していきます。
損害賠償責任を負うのは故意または過失の人身事故の場合
亡くなった方が故意に人身事故を起こした場合はその損害賠償責任が生じます。
今回のように鉄道会社が通常運行しているところに飛び込んだ場合は鉄道会社に非はありません。
飛び込み自殺ではこのようなケースが多く、遺族へ損害賠償責任が生じる場合が多いです。
そのため飛び込み自殺によって人身事故を起こすと車両や設備の修理費用をはじめとし、乗客への損害賠償や振替輸送費、対応に追われた方々の人件費など多額の損害賠償が発生する恐れがあります。
損害賠償を相続放棄する場合
多額になった損害賠償を払わないで済む方法の一つとして相続放棄があります。
つまり被相続人のプラスの財産(家や預貯金など)とマイナスの財産(借金、損害賠償など)を全て相続しない決断をするということです。
今回のケースのように電車への飛び込み自殺が起こる場合、亡くなった方はプラスの財産よりマイナスの財産が多いことがあります。
ただ闇雲に相続放棄することも危険です。
例えばその方の住んでいた家が本人名義で、かつ同居人がいた場合、その同居人は急に自宅を失うことになります。
または今回のケースのように第一順位の相続人が相続放棄することによって第二順位の相続人へ相続が発生するということもあります。
そのようなことがないように相続が発生したら、相続財産の洗い出しや相続人の確定を専門家と一緒にスムーズに行うのがよいでしょう。
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この記事を担当した司法書士
司法書士法人クオーレ
代表
鈴田 祐三
- 保有資格
司法書士・行政書士・宅地建物取引士
- 専門分野
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相続・遺言・生前対策・不動産売買
- 経歴
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立命館大卒。平成13年司法書士試験合格。平成19年に鈴田司法書 士事務所を開設。平成27年に司法書士法人クオーレを立ち上げ、 代表を務める。事務所開設以来、多数の相続の相談を受けており累 計相談件数1,400件以上の実績から相談者からの信頼も厚い。